信長から謙信へ渡った「幻の甲冑」の行方


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敵対したあとも残った贈り物


戦国時代の覇者、織田信長。彼の遺品、特に愛用した甲冑(鎧兜)の多くは、本能寺の変後の混乱や、居城・安土城が炎上した際に失われたと考えられています。信長自身の甲冑は、ほとんど現存しないというのが定説です。

しかし、奇跡的に残っている信長の甲冑が一つだけあります。それは、信長が「越後の龍」上杉謙信へ贈ったもの。

当時、信長は最大のライバルの一人であった武田信玄を牽制するため、謙信との友好関係を重視していました。その証として、豪華な甲冑を含む様々な贈り物をしたのです。

興味深いのは、その後、信長と謙信の関係は悪化し、敵対することになる点です。通常なら、敵将からの贈り物は処分されてもおかしくありません。しかし、この甲冑は大切に保管され続けました。

そして現在、この貴重な甲冑は、山形県米沢市にある上杉神社に「宝物」として大切に所蔵されています。たとえ関係が変わっても、歴史的な贈り物は残り続ける。戦国時代の複雑な人間関係とロマンを今に伝える、まさに「歴史の宝物」と言えるでしょう。

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